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エージェント型AI:AIの次なる進化
目次
主なポイント:
- AIの次なる進化形であるエージェント型AIは自律性を有し、自ら意思決定を行い、行動に移す。
- ワークフローの自動化、より効率的なカスタマーサービス、データに基づいた意思決定のサポートも可能に。
- 課題として、セキュリティ、ガバナンス、構造化データの不足が挙げられている。
この数年間、「生成AI」が世間を賑わせていますが、テクノロジーの進歩と共に、登場したのが、AIの次なる進化形である「エージェント型AI」です。
エージェント型人工知能とは
人工知能(AI)は、機械学習、自然言語処理、その他先進技術の躍進に後押しされる形で、ここ10年間で目覚ましい成長を遂げてきました。この進化の中核を担うのが、自律的に動作し、最小限の人的介入で複雑なタスクを処理できるエージェント型AIです。
エージェント型AIを活用するメリット:
- 複雑なタスクへの取り組みとタスクの自律的な遂行
- 意思決定の実行
- 日常業務の自動化:これにより、担当者による常時監視が不要に
エージェント型AIが成熟するにつれ、自律的な動作や未知の課題への適応といった機能がAIの新たな時代を築く基盤となるのです。
生成AIとエージェント型AIの機能比較
生成AIとエージェント型AIはどちらも、AIの著しい進化を示すものではありますが、使用目的が明確に異なります。
生成AIは、コンテンツの作成を目的として設計されています。大規模言語モデル(LLM)やディープラーニング技術を活用し、ユーザーの指示(プロンプト)に応じてオリジナルのコンテンツを創出します。この技術は、パーソナライズされたコンテンツの作成や、クリエイティブ作業の効率化において、優れた力を発揮します。
対して、エージェント型AIは自律的に動作するだけでなく、人的な介入を必要とせず行動し、意思決定を行うものです。機械学習アルゴリズムや自然言語処理を駆使して、データ分析、パターンの認識、リアルタイムでのデータに基づいた判断を下します。また、エージェント型AIは、あらゆる業界における複雑な問題の分析と解決に特に効果的です。これまで専門家の高度な知見が必要だった多角的な課題に対しても、企業はスムーズに対処できるようになります。
カスタマーサービスにおける例を挙げると、生成AIは、一人ひとりに合わせた回答やマーケティング資料を作成するのに対し、エージェント型AIでは、ユーザーの意図を理解し、自ら問題を解決することで、カスタマーサービスを自動化しています。この双方の強みを組み合わせることで、企業はシームレスなカスタマーエクスペリエンスを提供し、複雑な業務プロセスをより効果的に自動化できるようになります。
ガートナー社の調査では、2028年までに企業向けソフトウェアアプリケーションの33%にエージェント型AIが組み込まれると予測されています(2024年時点では1%未満)。この普及により、日常的な業務判断の15%がAIによって自律的に行われるようになるだろうと、同社は示唆しています。
エージェント型AIとAIエージェントの相違点
AIエージェントは、管理された、もしくは、事前定義された環境の中で特定のタスクを実行するように設計されています。このシステムはルールに基づき、カスタマーサービスのボットや自動スケジューリングアシスタントのように、繰り返しの多い明確なタスクに特化しています。
一方で、エージェント型AIとは、単独で行動し、意思決定のプロセスにおいて、自律性を発揮するシステムをいいます。こうしたAIモデルは、周囲の環境を認識し、データを分析して意思決定を行い、段階的に自らを適応させていくことができます。例えば、自動運転車の場合、エージェント型AIを活用して周囲の状況を分析し、安全で的確な運転判断を自ら行っています。
エージェント型AIはどう活用すべきか
現時点では、AIの自律性にはまだ一定の限界がありますが、企業各社はより柔軟で適応力の高いエージェント型AIの技術革新や開発を進めています。現在、エージェント型AIは、コンテンツ制作、データ分析、予測分析、カスタマーサービスなど実に幅広いアプリケーションに導入されており、その優れた汎用性と統合機能を実証しつつあります。また、前述した自動運転車以外にも、エージェント型AIは以下のような目的に活用されています。
| エージェント型AIの活用事例 | 俊敏性と効率性を高める活用方法 | 実例 |
|---|---|---|
| ワークフローの自動化 | 業務プロセスの管理をサポートし、複雑なワークフローや定型業務を含む多面的なタスクを、人的介入なしで自律的に自動化。これにより、業務を効率化し、さらに従業員の生産性も大幅に向上。 | 物流業界:リアルタイムの交通状況に基づき、配送ルートを自動調整。 |
| より顧客に寄り添ったサービス | AIエージェントやチャットボットは、定型文による回答で顧客をサポートできるが、これには限界があり、複雑な問題が発生した場合、結局は人間の担当者へ引き継がなければならない場合が多い。 対照的に、エージェント型AIモデルでは、以下を行うことが可能: ・顧客の感情や意図をより深く理解 ・顧客データを分析し、高度にパーソナライズされた体験を提供 ・問題解決のための具体的な手順を提案 これにより、パーソナライズされたプロアクティブなサービスを提供しつつ、人間の担当者がより戦略的な業務に専念できるような環境を構築。 |
小売業:顧客から「注文した商品が届かない」という問い合わせがあった場合、エージェント型AIが、注文内容の確認、配送業者への問い合わせ、顧客への報告という一連の作業を行い、問題を解決。 |
| データに基づいた意思決定 | エージェント型AIモデルは、リアルタイムデータを含む膨大な実データを処理できるため、パターンの迅速な認識、異常値の特定、予測分析の活用、複雑なシナリオにおける意思決定にも対応可能。このように実データを活用することで、AIが提供するインサイトの正確性とパーソナライズの質が向上。 | ヘルスケア業界:AI技術により、事務作業を効率化し、患者ケアを向上。医療従事者は、エージェント型AIで、患者の生活習慣や投薬状況、既往歴をモニタリングすることで、潜在的な健康リスクを特定可能に。さらに、スマート吸入器のようなスマートヘルスケア機器にエージェント型AIを統合することで、リアルタイムのデータ収集や患者のモニタリング機能が強化され、よりプロアクティブな医療介入を実現。 |
| サプライチェーン業務の最適化 | エージェント型AIシステムは、過去のデータを分析して需要を予測し、予知保全を可能にするだけでなく、発注量を自動調整することで、在庫レベルの最適化も実現。多様なデータプラットフォームやシステムとシームレスに統合することで、業務効率をさらに強化。 | 製造業:エージェント型AIを活用しサプライチェーンを常時監視。特定の製品の売れ行きが低下した際、AIがそれを検知し、関連する部品の購入量を自動的に削減するといった運用が可能。 |
エージェント型AIの仕組み
エージェント型AIモデルは、通常、以下4つの手順を経て課題解決に至ります。
- 知覚:関連するソースからデータを収集し、処理する。
- 推論:通常、大規模言語モデル(LLM)により、タスクの理解と解決策の創出を行う。
- 行動:APIを通じて外部システムと連携し、上記タスクを実行する。
- 学習:継続的なフィードバックループを通じて改善を図り、時間の経過とともにインテリジェンスと精度を向上させる。
AIシステムとインフラストラクチャー
いかなるAIアプリケーションであっても、その成功は堅牢性に優れたAIシステムとインフラストラクチャーに大きく依存しています。エージェント型AIが効果的に機能するためには、継続的な学習、高度な自然言語処理、そして洗練された知識表現を支える強固な基盤台が不可欠です。具体的には、クラウドベースのインフラやLLMなどの特化型モデルを活用することで、AIエージェントはデータの収集、情報処理、タスクの実行といった一連の作業を効率的に行えるようになります。さらに、外部ツールやコンテンツ管理システム(CMS)とシームレスに連携することで、AIシステムの機能が強化され、既存の業務ワークフローへスムーズに組み込むことができます。現代のAIインフラは、継続的な学習とナレッジ共有への対応により、エージェント型AIが、進化するビジネスニーズに応えるインテリジェントで適応性の高いソリューションを提供できるようにします。
エージェント型AIの導入における課題
あらゆるAI導入と同様に、エージェント型AIへの進化にも以下のような課題が発生します。
- セキュリティの脆弱性: AIモデルの進化に伴い、セキュリティは常に大きな懸念事項となります。エージェント型AIの普及は、高度なサイバー攻撃(スマートマルウェア、プロンプトインジェクション、悪意のあるAIエージェントなど)を許す入り口にもなりかねません。
- AI監視の限界:エージェント型AIシステムは自律的に動作できるからこそ、AIモデルを正しく導き、法令順守や倫理的配慮に沿った責任あるデータ管理を徹底するための強固なデータガバナンスフレームワークが必須です。「責任あるAI」がAIの成功に不可欠な理由、また責任あるAIの運用方法について詳しくは、こちらのブログ記事をご覧ください。
- 構造化データの不足:エージェント型AIが自律的に機能できるのは、膨大なデータを処理できるためです。つまり、データこそがエージェント型AIをはじめ、すべてのAIの基盤なのです。
エージェント型AIの利点を最大限に引き出すには、データのサイロ化の解消、バラバラなデータセットの統合、将来を見据えたデータ戦略の構築など、AIが活用できる状態にデータを整える必要があります。実際、Googleによる最近の調査では、自社のデータ品質に自信を持っている企業はわずか44%に留まっているとの結果が出ています。
エージェント型AIへの適応
調査会社のフォレスター社は、エージェント型AIを2025年における注目すべき最先端テクノロジーの一つに選出しました。アナリストは、エージェント型AIについて、「単なる自動化の進化における一段階ではなく、競争を勝ち抜くためにはなくてはならない画期的な機能だ」とコメントしています。
しかし、エージェント型AIを最大限活用するには、データ、インフラストラクチャー、チームなどをエージェント型AIに適応させていくための戦略立案に今すぐ着手することが必要です。
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